タカの渡り
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3000キロを飛んでやってくる! ハチクマ 驚異の渡りとは?

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ハチクマ などに代表される野鳥の渡りとは

渡り鳥の分類

 ハチクマ など野鳥の渡りとは、季節が来るとに繁殖地と越冬地の間を長距離移動する鳥の行動のことです。何千キロも移動する鳥もいれば、ほんの数キロの移動しかしない鳥もいます。
渡り鳥は

『夏鳥』
『冬鳥』
『旅鳥』

の3種類に分類されています。
 『夏鳥』は春になると東南アジアから日本に渡ってきて、繁殖を終え秋になると南に向かって渡っていく鳥たちのことを言います。
 『冬鳥』は夏にシベリアで繁殖した鳥が、秋に越冬のために日本へと渡ってくる鳥たちのことを言います。
 『旅鳥』はシベリアで繁殖し、秋に日本を通過してオーストラリアに行き、春になるとオーストラリアから日本を通過して、シベリアへと渡っていきます。春や秋の一時期だけ、通過地点の日本で見られることから旅鳥と呼ばれています。私も地元で見つけた鳥に観察標識が付いていた野鳥を撮影でき、喜んで知り合いに調べてもらったらなんと

『オーストラリア北西部』

からやってきていました。



なぜ渡るの?

 渡りの理由はいくつかあると言われています。最も重要な理由は、食料が豊富な場所を探してくると言われています。そしてもう 1 つの理由は襲われることが少なく繁殖に適している場所を探すためと言われています。
 つまり、鳥は繁殖のために北の方に移動し、繁殖が終わればその場所はよりも食べ物が多く過ごしやすい南に移動していきます。そして春になると、また繁殖地に戻って子育てをします。

どうやって方向がわかるの?

 鳥はまず最初に大まかに北向き、南向きなど、方角を太陽や地球の磁場を頼りに感じ取りスタートすると考えられています。そのあとは風のなどで効率よく行きたい方向に飛んでいきます。そのため行きと帰りではルートが変わることがあることも知られています。たまに台風に遭遇してしまい流されていつもとは違うところを通過したりもします。(バーダーは迷鳥とか珍しいのがくると珍鳥とか呼んでいます)そしてある程度のところまで来ると昔来たことのある地形の記憶などを頼りにして飛んでいき、最後には自分の目で確認して目的地まで飛んでいくと考えられています。そのほかにも臭いや仲間の鳴き声などを頼りに飛んでいくこともあります。
 野鳥の渡りは、地球上の生き物の行動で最も不思議な行動だと考えています。今回は私が野鳥にハマる原因になった渡り鳥
『ハチクマ』
について書いていきます。ぜひ最後までよんでください。

ハチクマ の渡りを実際に観れるまで

最初は失敗ばかり

 『最初から渡りって観れたの』
と聞かれることがよくあります。答えは。。。
『NO!』
です。お恥ずかしながら全く違う時期に全く違う場所に行ってみたり。少ない情報からわざわざ四国に行ってみたり。ようやく広島の某公園に観察場所があるとサイトで見つけて電話してみたら
『知りません』
と言われてみたり。。。これは私が勘違いして違う公園に電話していました。。。
そしてようやく広島の観察場所を見つけて通いはじめました。本当に何回も通い、雨でも飛ぶかもしれない!と行ってみたり、双眼鏡も倍率が低くほとんど見えなかったり。でもなぜか通っていました。そんなある日観察場所の方から
『岡山から来てるの?』
と声をかけてもらい
『それならええ人紹介するよ』
とある人を紹介してもらいました。ここではTさんとしておきます。このTさんはたまたまお仕事で広島に来ていた時にたまたま観察場所に来ていた方で岡山の方でした。その方が一言
『岡山からわざわざ通ってっるの!?そんなことしなくても岡山で観れるよ。』
そこからますます野鳥にのめり込むことになりました。まさか教習所の副管理者をやめてまで野鳥を追いかけることになるとはこの時思いもしませんでした。
そんなことからハチクマの渡りの観察にのめり込み今では岡山を中心に時間が合えばあちこちで観察を続けています。

ハチクマってどんな鷹?

 ハチクマは、日本を含む東アジア地域に生息する大型のタカです。ハチの幼虫を好んで食べることと、クマタカに似ていると言われていることからその名がつきました。
 ハチクマは夏鳥であり、日本では春の渡りである4月下旬から5月上旬に繁殖地に到着します。秋の渡りは9月下旬から10月上旬にかけてになります。
 名前の由来になっているようにハチの幼虫を好んで食べるのでもちろんハチの巣をよく襲います。そしてハチの攻撃を受けてもハチクマは平気な感じで逃げることなく巣を壊して巣版などを捕食していきます。平気な理由は詳しく分かっていません。羽が硬質で鱗の様なので毒針が貫通しないとか、ハチの毒が効きにくい(効かない)とかいろいろな説が言われています。またハチクマの攻撃を受けたハチが大人しくなってしまう映像もみたことありますがこれについても原因はわかっていません。蜂の攻撃性を抑えるフェロモン説などあるがいまだに詳しくわかっていないハチクマの不思議です。

リンク先の動画の11分55秒からハチクマの繁殖が観れます!

ハチクマ 渡りのルート

「タカの渡り」のルートには主に2種類あることが確認されています。
① 北海道からスタートし、青森県の竜飛岬から日本海側を南下しながら内陸に向かい、長野県の白樺峠、琵琶湖で北回りと南回りになり南岸から瀬戸内海を抜け、九州を横断して五島列島を渡るルート。
② 東日本の各地から愛知県伊良湖岬を渡り紀伊半島へ、そこから愛媛県の佐田岬、由良半島を渡り九州へ入るルート。
 いろいろな猛禽類の中でもハチクマは五島列島が日本最終地点となり、中国大陸へ渡り東南アジアを目指す個体が多く観察されています。



ハチクマ 渡りの時期と経路

ハチクマは、繁殖地である日本に春にやってきて繁殖が終わると五島列島から東シナ海を渡って中国大陸へ渡ります。その後、東南アジア方面へさらに南下します。

  • 春の渡り:中国大陸を経由して朝鮮半島から日本へ、4月下旬から5月上旬
  • 秋の渡り:長崎五島列島付近から東シナ海を渡って中国大陸へ(生まれてすぐの若鳥は後半になる傾向)9月下旬から10月上旬

ハチクマ オス

渡りの方法

 ハチクマは、主に上昇気流を利用して渡ります。鷹柱と言われる現象ですが上昇気流を見つけるとそこで円を描く様にぐるぐると回りながら上昇して(帆翔(はんしょう)と言います)その後一気に次の場所を目指して一直線に飛んでいきます。(滑空)これを繰り返して渡っていきます。上昇気流のない時は羽ばたいて飛んでいることもあります。

観察のワンポイント

 春と秋の渡りについて時期は書いたとおりですが、春に朝鮮半島から日本に入るとそれぞれの繁殖地に拡散していくためどんどんバラバラになっていく傾向があります。(岡山の確認で過去最大で1日約700羽以上。)普段はバラバラにとんできます。秋の渡りの時期では西に向かっていくほど収束していくので大きな塊で見ることができる可能性があります。(岡山での確認で過去最大で1日1500羽以上。)上空を黒い川の流れの様に渡っていく光景は圧巻です。
 また、上昇気流を利用して飛んでいくので帆翔している個体をにどんどん集まってくることが多いです。雲が湧きはじめているところとか狙い目かも?

渡りの距離

ハチクマの渡りの距離は約2,000~3,000kmと言われています。東南アジアからやってきてまた帰っていきます。

渡りの研究

 ハチクマをはじめ、鳥の渡りについてはまだまだ多くの謎が残されています。数年間からは小型軽量化されたGPS発信機などを用いて渡りの詳細な調査が行われています。いろいろ解明されていくことに期待しましょう!

ハチクマ の渡りを観察する準備

ハチクマの渡りは、春と秋の風物詩の一つと言えるぐらい楽しいものです。春に渡ってくるハチクマを見つけて『おかえり〜!』
と声をかけ秋の渡りには
『いってらっしゃい!』
と言っています。観察には

  • 双眼鏡
  • 撮影機材
  • 食料
  • 飲み物
  • 携帯トイレ
  • 日焼け止め
  • コンパクトチェァー
  • メモ用紙(数のカウントのため)

などなど持っていきます。そんなハチクマの渡りを観察できる場所は日本各地にあります。一番有名なのが五島列島ですが皆さんの近くにも観察場があるかもしれません。ぜひ下記のリンクで探してみてください!



まとめ

ハチクマに限らず野鳥たちは環境の変化の影響を受けやすい生き物です。渡りの途中の休憩に必要な森林や干潟などが開発によって減少しています。また去年は繁殖していた森などがなくなったりしています。自然を残す事、守る事は私たち人間にもとても大事な事です。渡りの観察を通して生息地の保護のことなどに興味をもってくれたら嬉しいです。



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